薬局の開業に必要な資金と調達方法
2020.12.14
- 薬局
- 資金調達
薬局の開業に必要な資金
薬局の開業のためには、かなりの資金が必要となります。
薬局の開業に必要な資金は最低でもどのくらいかかるのか、自己資金では足りない場合、どこから調達すればいいのか、それらについて知っておきましょう。
開業までに必要な資金の内訳としては、おもに以下の5つが挙げられます。
- 物件の保証金
- 物件の仲介手数料
- リフォーム費用
- 機材・備品の費用
- 薬の仕入れ費用
まず、1の保証金については、店舗物件の場合は賃料の10ヶ月分が目安と言われています。つまり、賃料10万円の物件であれば、保証金は100万円ほどを見積もる形となります。
2の仲介手数料は賃料の1ヶ月分が目安です。
3・4・5のリフォーム費用や機材・部品・薬の仕入れ費用などは薬局の規模などによってかなり幅がありますが、小さな調剤薬局であっても、100~200万円程度はかかるケースが多いです。
そしてさらに、当座の運転資金(売上計画で出した調剤報酬の2~3ヶ月分)やアルバイトなどの募集費用、開業前の研修などにかかる人件費などといった諸費用をあわせていくと、総額で少なくとも500万円以上はかかると考えておいたほうがいいでしょう。
もちろん、薬局の規模や立地などによってかかる費用は大きく違ってきますので、1,000万円を超える資金が必要となるケースも少なくありません。
銀行からの資金調達は難しい
薬局を開業するための資金は、少なくとも500万円以上はかかると見積もっておく必要がありますが、最大の問題は「それだけの資金をどこで調達するか」ということです。
もちろん、自己資金ですべて解決できるなら問題ありませんが、多くの場合は自己資金だけでは足りず、どこかから借りて資金を調達する必要があります。
「事業資金を借りる先」としてまず思いつくのは銀行ですが、残念ながら、薬局開業のための資金を銀行で借りるのは難しい部分もあります。
開業前だからこそ「事業者としての実績や信用がまだない」ということで、審査の際に厳しい目で見られてしまいやすいというのが、銀行から借りるのが困難となる最大の理由です。
日本政策金融公庫の「新創業融資制度」の利用を検討しよう
というわけで、銀行から薬局の開業資金を借りるというのは難しい部分がありますが、銀行以外の借入先の候補のひとつとして、政府系金融機関の日本政策金融公庫が挙げられます。
日本政策金融公庫では、新たに事業を始める人などを対象に「新創業融資制度」を実施していますので、まずはこちらでの借り入れを申し込んでみるといいでしょう。銀行以上に低金利なのも魅力です。
ただし、こちらも開業するなら誰でも借りられるというわけではありません。
まず、ある程度の自己資金が必要となります。最低条件としては、創業時において、創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要とされていますが、実際には3分の1以上の自己資金があるほうが好ましいと考えられています。
また、薬剤師としての経験や事業計画書の内容なども審査においてしっかりとチェックされますので、経験不足や、事業計画書の内容に不十分・不適切なところがあった場合は、審査に落ちてしまう可能性が高くなります。
つまり、日本政策金融公庫の新創業融資制度は、「ある程度の自己資金があり、さらに経験や事業計画書の内容も申し分ない」という状態であってこそ借りられるものであって、融資のハードルは決して低いものではないということです。
もちろん、融資を申し込んでチャレンジしてみる価値はありますが、審査に通ることを過度に期待しすぎるのは禁物という側面もあることを理解しておきましょう。
ノンバンクの利用も検討しよう
薬局の開業には多額の資金が必要ですが、銀行や公庫から借りるのはなかなかハードルが高い、という現実もあります。
銀行や公庫からの借り入れが難しい、となった場合は、ローンサービス会社などのノンバンクからの借り入れを検討してみるのがおすすめです。
ノンバンクからの借り入れとなると気になるのが金利ですが、不動産や調剤報酬を担保にするタイプの商品を選べば、無担保ローンよりも金利を低く抑えることが可能です。
あと、ノンバンクからの借り入れを検討する際の注意点としては「金利面だけを比較しない」というのが挙げられます。
ノンバンクの中には低金利を謳いながら「事務手数料や調査料などの諸費用を契約時に上乗せする」「繰上げ返済(完済)をすると違約金が発生する」など、別のところでお金を取るシステムを採用しているところもありますので、くれぐれも注意してください。
金利面だけでなく、諸費用や違約金の有無などもしっかり確認しながら選びましょう。
借入先の候補は複数ある
薬局の開業資金を銀行や公庫から借り入れるのはなかなかハードルが高いですが、特に低金利の公庫に関しては、ダメ元でも一度申し込んでみる価値はあります。
ただし、公庫の審査結果に過度の期待をするのではなく、「公庫がダメだったらノンバンクを利用すればいい」など、借入先の候補は複数あるのだと考えておいたほうが、気持ちにも余裕ができやすいのでおすすめです。
また、ノンバンクの中には金利以外に諸費用や違約金を必要とするところもありますので、契約条件・内容にはくれぐれも気をつけて下さい。
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